2011年7月18日月曜日

ボーカルはいらない

私、正直言ってジャズ・ボーカルは苦手です。ハイレベルなプロの演奏をCD等で聴くのは好きなのですが、それ以下の方のボーカルは、客観的に聴いてうまくても生で聴くのはやです。

私がインスト系なので仕方がないかと思うのですが、ボーカルが楽器とは思えない。特にセッションに来る人のレベルを聴いていると、単に生バンドつきカラオケと間違えているかのような自己陶酔型もいれば、どうにもこうにもならない方が大勢います。

たぶんそういう体験もあって、ボーカルに対する偏見もあるんでしょうね。

ほとんどのボーカルの方が前テーマを歌って、皆さんのソロを聴いて、後テーマを歌って終わり。他の楽器の方とインタープレイもしないし、冒険もない。なんでこんなんやってて面白いんだろう???って思います。



でも例外がお一人だけいます。札幌のデイ・バイ・デイの黒岩静枝さんです。

札幌にいるときに何度か彼女とセッションしたことがあるんですが、彼女のボーカルは単なる歌だけでなく、ジャズのひとつの楽器になっているんです。スキャットでバースを回された時、彼女はバースを回す次のソリストの顔をじっと見ながらスキャットします。あたかも次の奏者に語りかけるように、ある時は喧嘩を仕掛けるように、ある時はセックスをしている相手の顔を見るようにして歌います。

次の奏者はその歌に応答するように吹かざるを得ません。バースの間、二人だけの世界に入って、黒岩さんとのやり取りをせざるを得なくなります。

私が体験した彼女とのセッションは、完全にセックスでした。彼女とセックスをしている恍惚感に包まれます。今思い出してもぞくぞくする体験でした。あのようなボーカルを他に聴いたことがありません。

もちろん、彼女のこれまでの様々体験、経験が声になって歌になって出るのだと思います。

自分も今までのいろいろな経験が音になって人に伝わるようになればいいな、と思います。




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