2011年5月5日木曜日

Tomorrow is commin' / 権上康志トリオ

5/24発売の「Tomorrow is commin' / 権上康志トリオ」を先行入手してさっそく聴いております。

権上さんは主に関西で活躍する若手ナンバーワンのベーシストです。HPはこちら→http://jazz-bass-gonjo.seesaa.net/

彼のレギュラートリオの初CDとなります。


1.Step  (Shingo Kano)
2.Summertime (George Gershwin)
3.Still my mind  (Shingo Kano)
4.Route176  (Yasushi Gonjo)
5.Wool of inside  (Yasushi Gonjo)
6.嘆きの歌  (Yasushi Gonjo)
7.Blowin’  (Yasushi Gonjo)
8.Tomorrow is comin’  (Yasushi Gonjo)

私はまだ生ライブを聴いたことがなく、このCDがお初になります。気に入った曲を下記に。

「Still my mind」 : ピアノの加納新吾による美しいリリカルな曲。岸辺の情景を思い出させる優しいピアノタッチが転がるように続きます。

「Route176」 : ベースの権上康志による8ビートのファンキーなブルース。こりゃかっこいいわ。今度セッションでやってみたい曲です。後半は4ビートに移行してバース交換へ。ドラムの中野さんのアグレッシブなソロが聴けます。

「Tomorrow is comin’」 : ベースの権上康志によるワルツ。ベースによるテーマが印象的で美しい。加納さんの美しいソロも心に響きました。震災で明日を見失いがちな被災者に「必ず誰にでも明日は来る、いつの日か美しい明日は来るんですよ」という強いメッセージを感じました。これは本人のコメントではなく、私の感想です。

全体に非常に完成度の高いピアノトリオとなっています。ベースがリーダのバンドですと、不自然にベースがグイグイ前に出るアルバムを作りがちですが(特にポール・チェンバースなど・・・笑)、トリオとしてのまとまり感が高く高品位なピアノトリオ物としてぜひ多くの方に聴いてもらいたいですね。

最後の曲はほんと、ジーンと心を打たれました。彼の曲のテーマは「故郷」だったり「想い」だったり、心に響く美しい曲を書くコンポーザーとしての才能も非常に高いと思います。




レコ発ライブも発売日にあわせて神戸・元町で予定されております。


5/24(火) 元町 cafe 萬屋宗兵衛 "権上康志トリオCD発売記念ライブ"
19:30~ 予約¥2000 当日¥2500 学生¥1000
b 権上康志 pf 加納新吾 dr 中野圭人


2011年5月4日水曜日

高槻ジャズストリート2011 1日目~2日目 安ヵ川クインテット

でもって、高槻駅前にある「総合市民交流センター」8Fのホールに行きました。お目当ては「安ヵ川クインテット」です。

会場は200人くらい入る中くらいのホールスペースで、折りたたみ椅子ですがゆっくり聴けます。

いくつか聴いたのですが、印象に残った「河村恭子トリオ」(河村恭子:Vo、塩本彰;Gt、荒玉哲郎;Bs)。ボーカル・ベース・ギターのシンプルなユニットですが、しっとりとしたユニットでよかったです。

ギターの塩本さんは天満の「じゃず家」のセッションでご一緒したことがある、いぶし銀のギターです。

塩本彰

聴いてて安心感が違います。リラックスして聴けました。ボーカルのバックなのに動く動く。オブリガートでコード感のあるバッキングをするというのを初めて知りました。こういうのもアリなんだな。すごい。

ベースの荒玉さんは関西で活躍している方です。吉本の〇〇さんにお顔が良く似てらっしゃるので、次会っても間違えない自信がつきました(笑)。



そして、いよいよ「安ヵ川大樹クインテット」(安ヵ川大樹:Bs、浜崎航:Ts、市原ひかり:Tp、佐藤浩一:Pf、橋本学:Ds)。


いや~~~~~、すごかったっす。なんか久々に衝撃を受けました。とにかくスゴイの一言。何といえばいいかわからないけど、こりゃやばいわ。モーダルな曲でのドライブ感に思わずアドレナリンだ出まくりました。

個人の技量もさることながら、バンドとしての完成度がはんぱない。すごかったっす。

まずはベースの安ヵ川さん、音圧が半端じゃないくらい厚い。たぶん楽器全体が完璧に鳴りまくってるんだと思います。そしてずっしりとバンド全体を引っ張っていってます。アルコの音が美しかった。相当アルコも練習しているに違いありません。アルコがうまいベースって実はほとんどいないんですね。ランニングはある程度できても、弓を使って弦全体を鳴らすのはテクがいります。私も昔バイオリンをやっていたので、ボーイングという弦楽器のロングトーンをさんざんやらされました。これでちゃんと鳴らせるしっかりとしたベースです。

そして今回私が驚愕したテナーが浜崎航http://watarujazz.com/wataru/Welcome.htmlです。よかった。技術は超超一流です。バカテクというだけでなくて感性もすごい。簡単に言うならば「日本のマイケル・ブレッカー」と呼んでもいいのではないかと思いました。この動画だけで伝わるかな・・・。



なんというか、私が学生の時、マイケル・ブレッカーを追っかけて、「こんな風に吹きたいな」と思っていたことを全部、しかも軽々と吹いているのを見て、ちょっと嫉妬しちゃったくらいですわ。ちょっとこの子をしっかり聴いとかなきゃと思いました。


またドラムの橋本学も良かった。アグレッシブなタイコですわ。アドレナリン出まくりのドラムソロは圧巻でした。感動した。

ピアノの佐藤浩一くんは先日、エレナちゃんのBody And Soulでのライブで共演した若手ピアニストなんですが、その時の様子をネットで見ていた限りでは、正直いうと「このピアノの子、エレナちゃんに付いて行ってないな・・・」と感じてました。でも安ヵ川バンドを聴いて、「この子はバカテクこそないけど、やたら空気が読めるピアノだな。感性で弾けるピアノだな」と感じました。細かいところではなくて、要所要所でピリリと全体を引き締めるフレーズを放って、フロントあるいはソリストを目立たせる、そんなアプローチがすごく良いピアノでした。今後の成長に期待しましょう。

2日目もこのバンド見たさに高槻まで行ってきたくらいです。


意外だったのが市原ひかりちゃんの不調。以前に見たときは「もしやこの子、日本のフレディ・ハバード?」(すぐ日本の・・・と表現する失礼をお許しください、そのほうがわかりやすいので)と思ったのですが、その勢いは鳴りをひそめて、あまり目立たず吹いてました。もしかしたらハバードのレッテルを貼ったのが間違いだったのかな?彼女のリーダーではスタンダードを取り上げることが多くて、あまりモーダルな曲はやりませんもんね。



あ、そうそう、書き忘れた。今回、生CAMELさんにもお会いできました。想像通りの素敵な同年代でした。


ということで、今回は浜崎航に圧倒された2日間でした。充実したGWになりました。

高槻ジャズストリート2011 1日目~大友・権上DUOレポート

今年で13回目を数える「高槻ジャズストリート」に行ってまいりました。GJ氏の参加で雨が心配されましたが(笑)、なんとか持ちました。よかったよかった。

まずは13時からの現代劇場大ホールに行くべく12時45分に会場についたのですが、すでに長蛇の列。
なんといってもこの会場は纐纈歩美とケイコ・リーが出るとあって、一番の人気の会場です。この時点で諦めかけたのですが、せっかくなので待っているとなんとか3F席に入ることが出来ました。

まずは「岸ミツアキトリオwith小柳淳子」(岸ミツアキ:pf、蓑輪裕之:Bs、大曽学;小柳淳子:Vo)。これは、まぁ、ありきたり過ぎるド・ジャズで私の趣味には合いませんでした。クラッシックをジャズ風にアレンジする人はどうも・・・。でも聴衆は盛り上がってました。なんでだろ。素人にはこういうわかりやすいのがいいのかな・・・。

次は「纐纈歩美カルテット」(纐纈歩美:As、納屋嘉彦:Pf、俵山昌之:Bs、マークテイラー:Ds)。私は何も言いません。2日目にエレナちゃんを聴いた私にはコメント出来ません。でも納屋さんはよかったな。うまかった。要チェックです。でも纐纈さんはめっっちゃ美人でした。この写真じゃよくわからないね。



次のケイコ・リーも聴きたかったのですが、3Fでは何も見えないし、1Fに降りてみたけどりっすいの余地もなくあえなく断念しました。

次に高槻警察署前の「Route171」へ「大友・権上DUO」を聴きに移動。彼らは「ジンジャー・ブレッド・ボーイズ」のピアノとベースでよく存じあげております。




小さいお店なので超満員でした。立って聴いてたのですが貧血で倒れるお客さんもいたほどの熱気でした。


大友さんと権上さんの「愛の交換」(オェッ)というインタープレイで、楽しいやりとりが繰り広げられました。スタンダードありオリジナルありという感じで、和気あいあいな雰囲気が店を包みました。

終わってから大友さん・権正さんと記念撮影です。写してくれたY嬢、ありがとう!

さらに権上さんのトリオのCDのをゲットしました。それがこれです。
正式には今月末の発売なのでまだAmazonのリンクが貼れないのですが、先行入手しました。
まだ聴きこんでないのですが、かっこよかったですよ。ハンコックのピアノトリオという印象と、とある人が言ってました。ちゃんと聴きこんでからレビューしようと思います。

てなわけで次に向かったのが阪急高架下の「時安吉宏トリオ」(時安吉宏;Bs、内藤大輔:Ts;樋口広大:Ds)です。あまりに人が多かったのと、警備の人が「立ち止まらないで下さ~~~~い。ジャズを見る人は枠の中に入ってみてくだ~~~~い」とうるさくて、音楽を聞く環境ではないので早々と退散しました。このあたりはジャズストリートのひとつの問題ですね。安全と音楽の両立をどう図るのか、ちゃんと考えないとね。


道すがらの野外ステージでは、およそジャズとは全く関係のない、メッセージ系ロックのバンドがやってて「みんな、俺の音楽で日本をひとつにしようぜ。このステージがその証になるぜ、イェェェェェッイ!!」という、完全な勘違いバンドもやってて、何じゃこりゃ??ってなりました。ジャズはロックとは違うよぉぉ。

そして、次に安ヵ川バンドを見に移動しました。

(つづく)

2011年5月2日月曜日

Homecoming / Steve Grossman

Homecoming / Steve Grossmanを買いました。




(Amazonより)
1. Una Mas
2. Katonah
3. Afro Blue
4. This Time The Dream’s On Me
5. Ceora
6. Irresistable You
7. In A Sentimental Mood
8. Take The D Train
9. Una Mas (Radio Edit)
10. Una Mas (Radio Version)
11. This Time the Dream’s On Me

ステゥーヴ・グロスマン (ts)
ラリー・ウィルス (p)
ジョー・ファンズワース (ds)
ジョン・ウェバー (b)
ル-ベン・ロドリゲス (b)
ラルフ・イリザリー (per)
ロベルト・キンテーロ (per)
ビル・ウッッシャー (g)
トム・ブラウン (tp)

スティーヴ・グロスマンの10年振りとなる待望の新作 伝説的天才サックス奏者スティーヴ・グロスマンといえば、18歳の若さでウェイン・ショーターの後任としてマイルス・デイヴィスのグループに参加し、『ジャック・ジョンソン』『アット・フィルモア』『ライヴ・イヴル』等のアルバムで名演を残したことでも知られるが、1960年代からの盟友で本作のプロデュースを手掛けている中村照夫のバンドでも素晴らしい名演を聴かせてくれた。 この20年ほどはイタリアを拠点にマイペースな活動を続けていたそうだが、このほど盟友中村照夫のCheetahレーベル第11作目の作品として、実に10年振りとなる新作をリリースするに至った。 ラジオ・エディットも含むケニー・ドーハムの名曲「ウナ・マス」、ジョン・コルトレーンの名演でも有名な「アフロ・ブルー」、リー・モーガンの「シオラ」に自身のオリジナル「カトーナ」「テイク・ザ・ディー・トレイン」など、全9曲に渡って全く衰えなど感じさせない天才振りを発揮している。トム・ブラウンのトランペットの音色も花を添え、ティンバレス、コンガ、シェイカーといったラテン・パーカッションのサウンドがより一層スティーヴ・グロスマンのテナーの魅力を際立たせている。また、NYの地下鉄のホームの日常をとらえたジャケット写真もカッコよく、スティーブ・グロスマンにとって久しぶりのNY帰還を祝福する意味を込めたのであろうタイトルも粋だ。 (加瀬正之)

(ここまで引用)

音を聞いた瞬間、「うん、グロスマンだ!」という感激。特に2曲目の「Katonah」の出だしなど、往年のグロスマン・フレーズが炸裂っ!!って感じで、超かっこいい。グロスマンはグロスマンであり続けて欲しいという願いがかなった瞬間です。

グロスマンといえばまずはこれ。


エルビンの「魚」で有名な「ライブ・アット・ライトハウス」です。ライトハウスと言いながら中身は超ヘビー。この時のグロスマンはまだ10代なんですが、プレイは完全にデーブ・リーブマンを食っています。大爆破のグロスマンが聴けます。昔のテナーサックスプレーヤーはこれをまず聴いて研究したものです。聴いたないひとはぜひ聴いてね。

この時のアドレナリンがまだグロスマンにあったんだな。よかった。


エレナちゃんat Mr. Kelly's

今日は寺久保エレナのライブに大阪の「Mr. Kelly's」に行ってきました。前回は去年の8月だったから、生エレナは9ヶ月ぶりです。


思えば、前回のエレナちゃんを聴いて、私の生活はガラっと変わりました。

それまでは週末といえば家で持ち帰りの仕事をしたりプログラミングをしたりのインドア、たまに出かけるといっても寺巡りくらいで、全く音楽とは離れた生活でした。

でもあの去年の8/8の「Mr. Kelly's」のエレナちゃんのライブを聴いて以来、私の生活はガラっと変わりました。

ライブの1週間後にはアルトサックスを手にし、週末は個人練習。なんとか勘を取り戻してからは、京都・大阪のセッションに出歩くようになり、まったく家庭を顧みないヤツになりました(笑)。

それだけあのライブは私にとっては衝撃的なライブでした。


そんなエレナちゃんがまた大阪に来るというのに、ライブを知ったのがたった3日前。店のHPでは既にSold Out。・・・もう死のうと思いました(笑)。でも店のマスターの計らいでなんとか今日を店で迎えることができました。ありがとうございました>ケリーズ店長殿

それがこれです。


Mr. Kelly's http://www.misterkellys.co.jp/index.html
大阪市北区
曽根崎新地2-4-1
ホテルビスタプレミオ堂島
TEL:06-6342-5821
FAX:06-6342-5822

2011/5/1(日)

Erena Terakubo Special Session
寺久保エレナ(As) 大友孝彰(P)坂崎拓也(B)竹田達彦(D)

2stages:入替無し open 18:00 1st 19:00/2nd 20:30
charge:前売¥3,800 当日¥4,300

やっぱこの子はすごいわ。今の日本のサックス奏者の頂点と言ってもいいんじゃないかな。しかもまだ進化してる・・・。

もはや単なるアルトサックス奏者ではない、ひとりのジャズミュージシャンだな。もうすでにアルトサックスの限界を超えて、吹く楽器がアルトサックスである必然性を失っている気がした。彼女がアルトじゃなくてクラリネットでもカスタネットでも私は彼女のファンになっていたことだろう。

エレナちゃんフレーズという固定的なフレーズではなくて、今までのジャズの巨人たちの遺産をすべて受け継いで、それが音となって出てきている。ある時はキャノンボール、ある時はコルトレーン、ドルフィー、オーネット・コールマン・・・。いちいち枠に入れるのが面倒なほど変幻自在にフレーズが紡がれていく・・、そんな気がしました。

それが確信に変わったのがアンコールで吹いてくれた「It's You Or No One」。前に聴いた時はバカっ速なテンポに自分でも吹いていくのがやっとという印象を受けたし、「東京ジャズ」でのプレイもまだまだ消化しきれてないな、と思ったけど、・・・今日は違った。

もう完全に消化していた。というよりもバップ自体を完全に消化しきっていた。おそらくスタンダードをバップらしく吹くこと自体を完全に消化していて、そのバップ縛りからなんとか逃れようとしている、「脱皮」しようとしている印象を受けました。

彼女にとってバップというひとつの言語は完璧に身についていたのです。その上で自分の言葉で喋りたい、今の自分を自分のフレーズで表現したい、そういう「脱皮」しかけた寺久保エレナを今日は目撃できました。今日聴いた人はラッキーだと思う。たぶん来年のエレナはまた違う形になっていることだろう。

6/22に出る新譜とその後のレコ発ツアー、超楽しみです。それまでは頑張って仕事しようと決意しました。



今日のサポートメンバーにも触れておきます。

ピアノの大友くんは「ジンジャー・ブレッド・ボーイズ」のメンバーで知った若手です。今日のプレイは何かが彼に降臨してました。凄まじい熱のこもったプレイでした。あんな彼、初めて聴きました。エレナ効果か竹田効果か。

ドラムの竹田さんは関西のギターの重鎮、竹田一彦さんの息子とのことでした。これがまたすげーの一言。静と動のメリハリ、動の時の爆破の流儀はすごかった。今回初めて聴きましたが、今後は要チェックです。

ベースの坂崎くん、これがまたイケメンでした。背は高いしかっこいいし、ベースもうまいし、良いベースです。アルコのソロはもうちょっと練習したほうがいいかも。



っつーわけで、私としてはもうGWは満足しました。明日から働けます。もう十分GWを満喫しました。